DOCTOR'S COLUMNドクターズコラム

2024.03.29

蒙古襞形成

蒙古ひだ形成について④「逆Z法のダウンタイム」

Dr Kuroda

以前のコラム、蒙古ひだ形成について③ では蒙古ひだ形成VY法のダウンタイムについて解説しました。

当院では蒙古ひだ形成VY法を行う患者様が多いのですが、逆Z法でも蒙古ひだ形成を行っています。

今回はリクエストが多かった蒙古ひだ形成逆Z法のダウンタイムについての解説です。

蒙古ひだ形成逆Z法の特徴について知りたい方は、蒙古ひだ形成について① を参照してください。

まずはデザインです。

目頭に三角形の皮膚切開を加えます。三角形の皮膚を頭巾状に折りたたんで蒙古ひだを作成します。三角形に皮膚を切った部分は縫い縮めて、作成した蒙古ひだを下方に縫い付けます。

この症例では三角形の皮膚切開は標準より小さめです。

手術直後の状態です。

皮膚が白っぽいのは局所麻酔の影響です。

軟膏で見えにくいですが8-0ナイロンという細い糸で縫合しています。

涙丘は1ミリ程度狭くなっています。

抜糸直後の状態です。

VY法の場合もそうですが抜糸直後は傷跡の赤みとボコつきがあります。

作成した蒙古ひだは浮腫みがあるので、抜糸直後の時点ではボテっとしています。

傷跡に対して抜糸後から3週間は傷跡を改善させる軟膏を塗って頂きます。

術後1ヶ月の状態です。

抜糸直後と比べて赤みやボコつきが改善してきました。

作成した蒙古ひだの浮腫みは引いてきています。

涙丘の露出はさほど変化はないのですが、浮腫みが引くことで後戻りしたと感じる方もいます。

術後3ヶ月の状態です。

手術直後と比べてみると涙丘の露出は後戻りしていないことが分かります。

三角形の皮膚を採取した部位は白く抜けたやや幅の広い傷として残ります。

この横方向に残る傷跡は個人差が大きいです。

別の症例の経過も見てみましょう。

術前の状態です。他院での目頭切開から3ヶ月経過した状態です。

手術直後の状態です。三角形の切開は標準的なサイズで取っているため先ほどの症例よりも傷は大きめです。

抜糸直後の状態です。やはり傷跡の赤みとボコつきがあります。

術後1ヶ月の状態です。傷跡の赤みは減ってきましたが、まだボコつきが残ります。

術後3ヶ月の状態です。

傷跡は白く抜けてやや幅のある状態です。

涙丘の露出は術直後と比べてさほど後戻りはありません。

涙丘は1ミリ程度狭く出来ます。

いかがでしたか?

立体的な蒙古ひだを作成することが出来るのは逆Z法のメリットです。

後戻りについてよく質問を頂くのですが、再建した蒙古ひだの浮腫みが改善することで印象は変化するものの、涙丘の露出はさほど後戻りしていないことがお分かり頂けると思います。

蒙古ひだ形成は非常にデリケートな手術で、時には0.5ミリ単位の微調整が必要です。

VY法と逆Z法のメリット・デメリットに精通していて、患者様の要望に適した術式を提案出来る医師に相談することが大切です。

副院長 黒田大樹

#ドクターKの深掘り解説シリーズ

この記事の監修者

副院長

黒田 大樹

OHKI KURODA

2005年に信州大学医学部を卒業し2年間の初期研修医を修了後、形成外科医局として全国で最大規模の昭和大学形成外科に入局。形成外科医として11年間研鑽を積んだ後に、美容外科を専門として現在に至る。