DOCTOR'S COLUMNドクターズコラム

2024.04.05

蒙古襞形成

蒙古ひだ形成について⑤「涙丘の形」

Dr Kuroda

涙丘について

目頭にあるピンクのお肉は涙丘(るいきゅう)といいます。

涙丘は蒙古ひだで隠れて全く見えない人もいれば、しっかりと見えている人もいます。

目頭切開や蒙古ひだ形成をすることで涙丘の見え方を変えることができます。

しかし、涙丘の形そのものは変えることが出来ません。

(厳密に言えば方法はあるのですが美容外科の手術として行うことは一般的ではありません)

目頭切開を検討する場合には、必ず涙丘の形をチェックする必要があります。

目が離れているからと大きく目頭切開をすると、涙丘の形によっては不自然な目元になってしまいます。

ここで涙丘の形をいくつか見てみましょう。

いずれも他院で目頭切開をされた後の状態です。

蒙古ひだが完全に解除されていて涙丘が露出しています。

涙丘の形は三角形で先端が尖っています。

この方も蒙古ひだは完全に解除されています。

先ほどの症例よりも涙丘が大きく先端に丸みがあります。

わずかに蒙古ひだを残して涙丘の大部分が露出しています。

涙丘は縦幅に対して横幅が長い「鳥のクチバシ状」の形をしています。

蒙古ひだは解除されて涙丘が完全に露出しています。

涙丘は先ほどの症例よりも更に縦幅が狭い「鳥のクチバシ状」です。

いかがでしょうか?

好みの問題ではありますが、一般的に「鳥のクチバシ状」の涙丘が大きく露出している目元は好まれないことが多いと思います。

蒙古ひだ形成 症例紹介

ここで蒙古ひだ形成の話題です。

患者様はVY法か逆Z法、どちらが自分に適しているのかを悩まれると思います。

どちらの方法もメリット・デメリットがありますから絶対的な正解はありません。

そのあたりは今までのコラムで解説してきました。

ですが涙丘の形が「鳥のクチバシ状」の人ではVY法を選ぶ方が良いと思います。

先ほどの方々をVY法で蒙古ひだ形成をした状態です。

VY法は涙丘の横幅を1ミリ以上狭くすることが可能なので、縦横のバランスを整えることが出来ます。

「鳥のクチバシ状」の涙丘の人に、他院で逆Z法による蒙古ひだ形成をされた症例をご覧下さい。

逆Z法は立体的な蒙古ひだを再建できる素晴らしい方法なのですが、涙丘の露出は1ミリ程度しか狭く出来ません。「鳥のクチバシ状」の涙丘の人に逆Z法による蒙古ひだ形成をすると、先端だけが不自然に隠れた縦横のバランスの悪い涙丘になってしまいます。

では、横幅の大きな涙丘の人が、

「涙丘の横幅も減らしつつ立体的な蒙古ひだも欲しい」

と希望した場合はどうしたら良いでしょう?

先ほどの症例のその後を紹介します。

前医で再建された蒙古ひだを残しつつVY法で涙丘の横幅を狭めました。

このようにVY法と逆Z法を二期的に組み合わせることで、涙丘の横幅を減らしつつ立体的な蒙古ひだを作ることが出来ました。

他にはShark fin flapという方法も立体的な蒙古ひだを作りつつ涙丘の横幅を1ミリ以上狭くすることが可能ですが、諸々気になる点がある術式なので適応は慎重に考えています。

まとめ

目頭切開にしても蒙古ひだ形成にしても1種類の術式だけで全ての症例に対応することは無理があります。涙丘の形をチェックすることは手術方法を決定する際に必須です。

患者様におかれましても、目頭切開や蒙古ひだ形成を検討している場合には自分の涙丘の形を把握してから主治医と打ち合わせをすることをオススメします。

副院長 黒田大樹

#ドクターKの深掘り解説シリーズ

この記事の監修者

副院長

黒田 大樹

OHKI KURODA

2005年に信州大学医学部を卒業し2年間の初期研修医を修了後、形成外科医局として全国で最大規模の昭和大学形成外科に入局。形成外科医として11年間研鑽を積んだ後に、美容外科を専門として現在に至る。