DOCTOR'S COLUMNドクターズコラム

2023.10.06

目頭切開

目頭切開は劇薬

Dr Kuroda

今回は目頭切開についてのお話です。

目頭切開とは、蒙古ひだの形を変えて涙丘(目頭のピンク色のお肉)の露出を増やす手術です。
蒙古ひだについては 過去コラム を参照下さい。

目頭切開はポピュラーな手術なので、検討されている人も多いのではないでしょうか?

「他院で目頭切開を勧められました。本当に必要ですか?」と聞かれることもよくあります。

目頭切開は何となく受けると後悔することが多い手術、と私は思っています。

なりたい目元のしっかりとしたイメージと、その為に目頭切開が必要であるという根拠があれば検討してもよいでしょう。

どのような目的で目頭切開を行うのか?
目的別に実際の症例写真を見ていきましょう。

目的①:平行型の二重にしたい

平行二重にしたい。目頭切開を検討されている人に一番多い理由だと思います。最初に考えるべきは、平行二重にするのに本当に目頭切開が必要なのか?ということです。蒙古ひだがあってもサイズが小さかったり弱い場合では、目頭切開を併用しなくても平行二重が作成出来るケースもあります。「平行二重にしたいです」と言われると、脊髄反射的に目頭切開を勧めてくる美容外科医もいますので注意が必要です。

シミュレーションで平行二重に皮膚が折れてくれない、平行二重に折れるけれど蒙古ひだの延長線上のラインが混在して目立つ、といった場合には目頭切開が有効です。

この患者様のケースでは、他院で複数回埋没法を行っているがどうしても平行二重にならないとのことで、目頭切開と切開二重を行っています。

目的②:目の間隔が広いのを改善したい

日本人女性の目の間隔は平均35ミリと言われています。ただし、35ミリはあくまでも目安に過ぎないので、数字だけで広い狭いを判断するのは危険です。目の間隔が40ミリ近くても、蒙古ひだが小さく涙丘もしっかり露出している人もいます。そのようなケースでは、目頭切開ではなく鼻筋を高くすることで離れ目の印象を改善する提案をすることもあります。

蒙古ひだの形が目尻側にカールしていて目が小さく見えている人は、目頭切開による恩恵を受けやすく良い適応です。蒙古ひだがカールしている人は、視覚効果で実際よりも目が小さく離れ目に見えてしまっています。

この患者様は蒙古ひだが目尻側にカールしています。目頭切開は控えめに行っており、涙丘の露出具合は1ミリ程度の変化です。ですが数字以上に目の横幅は広くなったように感じますし、離れ目の印象も改善しています。

目的③:目頭の窮屈な印象を変えたい

蒙古ひだで目頭が窮屈に見えるケースでは、目頭切開で劇的に印象が垢抜けます。

この患者様は内眼角間距離が38ミリで、1ミリ程度涙丘の露出が増えるように目頭切開を行っています。二重は何も手を加えていませんが、二重ラインが自然と目頭近くまで伸びて目頭の窮屈な印象が改善しました。

こちらの患者様は内眼角間距離が37ミリで、先ほど症例よりも更に控えめな目頭切開を行っています。二重は何も手を加えていません。恐らく1ミリ以下の変化だと思います。たったこれだけの変化でも、目元の印象は魅力的になります。

まとめ

目頭切開は良くも悪くも印象が大きく変わる手術です。適応を選んで行えばとても魅力的な目元になります。

一方で、目頭切開後の印象の変化に苦しむ患者様が少なくないのも事実です。当院は目頭切開後の修正の相談が多いクリニックですので、そのような方を大勢みてきました。

目頭切開は蒙古ひだの形だけでなく、隠れている涙丘の形、鼻筋の高さ、その人の顔全体の雰囲気などを総合的に判断して適応を考える必要があります。

適応がある場合でも、「目頭切開は控えめくらいで丁度良い」ことは肝に銘じる必要があります。

目頭切開は劇薬です。
薬にも毒にもなります。

副院長 黒田大樹

#ドクターKの深掘り解説シリーズ

この記事の監修者

副院長

黒田 大樹

OHKI KURODA

2005年に信州大学医学部を卒業し2年間の初期研修医を修了後、形成外科医局として全国で最大規模の昭和大学形成外科に入局。形成外科医として11年間研鑽を積んだ後に、美容外科を専門として現在に至る。