DOCTOR'S COLUMNドクターズコラム

2024.05.10

目頭切開

目頭切開のバリエーション①

Dr Kuroda

「先生の目頭切開は何法で行いますか?」

カウンセリングで聞かれることがあるご質問です。

蒙古ひだの形には個人差がありますし目頭切開を行う目的も症例によって違います。ですから各々の症例に対応するために目頭切開には様々な方法があります。

ざっと大まかに分類しても

1)蒙古ひだの皮膚切除をするもの:三日月法、平賀法、リドレープ法など
2)Z形成を行うもの:Z形成、ハーフZ形成、パーク法、小川法など
3)Y-V法に分類されるもの:デルカンポ法など
4)W形成を行うもの:内田法など

があり、それぞれの変法などを含めると把握しきれないほどの術式があります。

今回は私が普段使いをしている目頭切開の方法について解説していきます。

①Z形成

まずは王道のZ形成です。

Z形成は形成外科手技の基本中の基本で、一辺を蒙古ひだの稜線と一致させることで凸面を凹面に変換する効果があります。蒙古ひだのツッパリを解除して尖った形の目頭にしやすい方法です。術中の微調整も行い易く、傷跡がジグザグになるので術後拘縮による後戻りが少ないといったメリットがあります。

一方、下眼瞼まで大きく蒙古ひだが伸びている症例に行うと下眼瞼に斜めに走る傷跡が目立つことがある、大きくデザインをしないと変化量が乏しいといったデメリットがあります。

私の場合には

・尖ったシャープな目頭にしたい
・蒙古ひだがそれほど大きくない
・控えめな変化を希望している

などのケースでは利用することが多い方法です。

②ハーフZ形成

先ほどのZ形成とほぼ同じ方法なのですが、Z形成の一辺を蒙古ひだの稜線と一致させずに行います。凸面を凹面に変換する効果は弱いですが、蒙古ひだの付着部位を横や斜め下など狙った方向に移動させ易いといったメリットがあります。Z形成の仲間なので尖った目元も作りやすいです。

一方、傷跡の一辺が蒙古ひだの稜線と一致しないのでZ形成に比べて傷跡が目立つことがある、大きな蒙古ひだではツッパリの解除が不十分になるといったデメリットがあります。

私の場合には

・それほど大きくない蒙古ひだの方向の微調整をしたい

といったケースで利用します。

症例を選んで控えめなデザインで行えば、デメリットは問題になりません。

③パーク法

この方法もZ形成の仲間です。目頭切開をする目的として「平行型の二重にしたい」という人が多いのですが、目頭付近の皮膚の被さりが大きいケースではZ形成やハーフZ形成では必ずしも平行二重になるとは限りません。そこで平行型の二重ラインに連続するように目頭に被さる皮膚を切除しつつZ形成を行います。目頭の皮膚の余剰が多いケースでも平行型の二重を作成しやすいというメリットがありますが、傷跡が長くなるというデメリットがあります。私はZ形成の一辺を蒙古ひだの稜線に一致させるパーク変法を採用しているので、傷跡が二重ラインに紛れて目立ちにくくなるようにしています。

私の場合には

・平行型やミックス型の二重にしたい
・目頭付近の皮膚の被さりが大きくZ形成では平行型にならない

といったケースでは良く行う方法です。

この3つの方法はいずれもZ形成を利用しています。

Z形成を利用しない目頭切開の方法も行うことがあります。

それについては次週のコラムで解説いたします。

副院長 黒田大樹

#ドクターKの深掘り解説シリーズ

この記事の監修者

副院長

黒田 大樹

OHKI KURODA

2005年に信州大学医学部を卒業し2年間の初期研修医を修了後、形成外科医局として全国で最大規模の昭和大学形成外科に入局。形成外科医として11年間研鑽を積んだ後に、美容外科を専門として現在に至る。