DOCTOR'S COLUMNドクターズコラム

2023.09.22

その他

誠実な症例写真の見分け方

Dr Kuroda

こんにちは。副院長の黒田です。

最近はやや難解なコラムが続いていました。
原点回帰で今回は肩の力を抜いて読める内容です。

取り上げるテーマは
「誠実な症例写真の見分け方」
です。

形成外科医は若手時代に、症例写真の撮り方を先輩医師から厳しく指導されます。

私も先輩医師から
「形成外科医にとってのカメラは、内科医にとっての聴診器のようなものだ」
と言われて、厳しくも愛のある指導をして頂きました。

さて、昨今の美容外科のSNS等で見かける症例写真を目にすると、気になる写真をチラホラと見かけるわけです。

医療広告ガイドラインについて

厚生労働省から2018年に施行された「医療広告ガイドライン」には、

治療等の内容または効果について、患者等を誤認させるおそれがある治療等の前または後の写真(ビフォーアフター写真)等を広告に掲載することは禁止されます。ただし、ウェブサイト等で、治療内容、費用、主なリスクや副作用に関する詳細な説明を、分かりやすく付けたビフォーアフター写真は掲載できます。

とあります。

また、不適当な具体例として

【手術・処置等の効果・有効性を強調するもの】
二重瞼の施術前後の比較写真について、施術前は化粧をしていないと思われるが、施術後はアイシャドウやマスカラなどを使用している

【他との比較等により自らの優位性を示そうとするもの】
“リピート率No. 1”、“アイドル⚪︎⚪︎さんが選んだ⚪︎⚪︎法”

とあります。

つまり、患者さんをだますような紛らわしいことをしたらいかんですよ、と厚生労働省が言っているわけです。

医療者から見ると「この症例写真はちょっとズルいなぁ」と感じるものであっても、医学知識の乏しい一般の方から見ると「まぁ、素晴らしい症例写真!」となってしまうことは良くあります。

信頼できる症例写真について

そこで、私が考える信頼できる誠実な症例写真について説明したいと思います。

ビフォーアフターが同じ条件で撮影されている

これは基本中の基本ですが、残念ながら最も蔑ろにされています。

ビフォーはスッピンなのに、アフターはメイクアップされている写真には注意が必要です。カラコン、エクステなどは大きく目元の印象を変えてしまいます。

顔の向きも同じ条件に揃えるべきですが、アフターでは斜め上などの見上げるポジションから撮影してパッチリ見えるようにする、頬に手を当てて小顔効果で錯覚させるなども良くある手法です。

また、光の当たり方も確認しましょう。女優ライトって聞いたことがありますか?テレビの撮影などでは女優さんは机の下にライトがあって、下方向から光を当てることで顔に影が生じないようにしています。症例写真でもアフターのみリングライトを使用したり下方からライトを当てて、影を消しているような写真は信頼性が低いです。

手術直後以外の写真もある

手術直後の写真しか載せていないのもちょっと気になります。

埋没法では、手術直後は腫れが少なく見えても2~3日は腫れが強くなっていくのが通常の経過です。鼻の手術では、直後は綺麗でも組織の浮腫みで見え方は変わってきますし、長期経過ではその形は維持されていないかもしれません。

もちろん、手術直後の写真も載せつつ、その症例の長期経過の写真も載せているのであれば何の問題もありません。

長期経過の写真がないクリニックは術後のフォローアップを蔑ろにしている可能性があります。術後の検診は予期せぬ不具合の早期発見につながるため必ず必要です。検診の重要性は、またいずれこのコラムで取り上げたいと思います。

様々な角度からの写真を載せている

目元の手術であれば、目を開けている時と閉じている時の写真は見せて欲しいところです。中には、上方視、下方視などの写真も載せているクリニックもあり誠実さに感心させられます。

鼻の手術では、正面、横、斜め、下からのあおりの写真があると良いと思います。鼻は三次元的な仕上がりを求められる手術なので、正面からみると綺麗でも横からみると不自然というようなことは良くあります。鼻尖縮小で最も細く見える下からのあおり写真のみ掲載して、横からの写真が無いような症例写真は誠実とは言えません。

症例写真への解説がしっかりしている

症例写真についている説明がしっかりと書かれている先生の投稿は、同業者の目から見ても勉強になりますし説得力があります。逆に、どの投稿を見ても同じ説明のコピペばかりの投稿だとちょっと残念な気持ちになります。「神は細部に宿る」という言葉もありますので、一つ一つの症例写真を丁寧に解説して投稿している先生であれば、カウンセリングや手術も丁寧に行なってくれそうな気がします。

更新頻度が高い

コンスタントに手術をしている先生であれば、症例写真の更新頻度も高いはずです。更新が止まっている、同じチャンピオン症例を繰り返し掲載している、などはちょっと気をつけた方が良いかもしれません。患者様が集まりすぎて症例写真を掲載する暇がない(必要がない)可能性もあるので、症例写真の誠実さに比べるとそれほど重要な要素ではないかもしれません。

ほとんどの先生は、コラムで指摘したようなことはしっかりと守って誠実な症例写真を掲載しています。しかし、残念ながらそんなのお構いなしに不誠実な症例写真を載せて集客している先生がいることも事実です。

知識の乏しい者が騙されるのは世の常ですから、患者様は症例写真を見る際にはこのコラムに書いてある様な視点を持って判断することが、己を守る上で大事だと思います。

私自身も自分の投稿を振り返ってみると、アフター写真でカラコンをしている写真が紛れていたりしますので、自戒の念をこめて今回のコラムを執筆いたしました。

副院長 黒田大樹

#美容外科よもやま話シリーズ

この記事の監修者

副院長

黒田 大樹

OHKI KURODA

2005年に信州大学医学部を卒業し2年間の初期研修医を修了後、形成外科医局として全国で最大規模の昭和大学形成外科に入局。形成外科医として11年間研鑽を積んだ後に、美容外科を専門として現在に至る。