2023.12.29
吊り目矯正
吊り目矯正について
今回のテーマは私の人気施術の一つ「吊り目矯正」についてです。
以前のコラムでもサラッと触れましたが、よりしっかりと深掘り解説をします。
※参照コラム:吊り目矯正とグラマラスライン形成って何が違うの
吊り目矯正とは
この手術は、名前の通り目尻の位置を外下方に下げることで吊り目の印象を改善する手術です。他院では同じような術式で「下眼瞼下制術」や「タレ目尻切開」と呼称されている場合もあります。グラマラスラインやタレ目形成のように下眼瞼のアーチを下に凸にすることなく、目尻の位置を下げることが可能です。目尻の位置が斜め外に下がるので、目尻切開のように横方向にも目が大きくなる効果もあります。百聞は一見に如かずなので、実際の症例写真を早速見てみましょう。
目尻の位置が外下方に下がり、外側の白目が大きくなっているのが分かります。
どんな手術なの?
目頭と目尻の位置は、靭帯が骨と付着している場所で決まります。目頭を指先で優しく触ると奥の方にコリコリとした動かない組織を感じると思います。それが靭帯です。目尻の靱帯はやや深い位置にあるので、強く指を押し込まないと触れません(危ないので触ろうとしないで下さい)。
手術では目尻に数ミリの皮膚切開を加えて、下眼瞼を支えている靭帯の一部を切り離します。靭帯を切り離すと下眼瞼はグラグラに動くようになるので、丁度良い位置の骨周囲に再固定するのが吊り目矯正の概要です。
私は2018年からこの術式を行なっていますが、靭帯の固定部位や残す組織、切除する組織、皮膚切開のデザインなど様々なコツがあると感じています。コツの内容は一般の方にはマニアック過ぎるので、興味のある方はカウンセリングで聞いて下さい。
ダウンタイムについて
手術は局所麻酔のみでも十分可能ですが、不安の強い人は笑気麻酔や静脈麻酔を用いて手術を行います。抜糸は7~10日後です。縫合した糸が短いとチクチクするので、少し長めに残してテープで皮膚に固定しています。柔らかい糸で縫合すれば短く切ってテープ固定を省略出来るのですが、ナイロン糸で縫合した方が仕上がりが綺麗なように感じているので、現状ではナイロン糸で縫合しています。
目尻は血管が多い部位なので、内出血斑が生じることは珍しくありません。人によっては結膜浮腫といって、白目がブヨブヨとゼリー状の膨らむことがあります。これは一時的なもので通常は2週間程度で改善します。
吊り目矯正のダウンタイムを見てみましょう。
手術直後は、下三白眼になるくらいしっかりと下げます。目尻に貼ってあるテープで糸を皮膚に固定しています。
1週間後の抜糸直後の状態です。この方は内出血斑は少なめで結膜浮腫は認めません。手術直後からの1週間が最も後戻りが生じる期間です。
1ヶ月後の状態です。目尻の赤みが引いてきます。1ヶ月以降は後戻りは殆ど生じません。
ビフォーアフターです。吊り目の印象が和らいで、目が大きくなっています。
別の患者様で、術後1週間で内出血斑と結膜浮腫が生じている症例もご覧下さい。
右の目尻に結膜浮腫が生じています。左目は内出血斑が強めに生じています。
このように同じ術者が行なってもダウンタイムの程度に差が出てしまうことは避けられません。
二重幅への影響
切り離して再固定するのは下眼瞼に繋がる靭帯だけで、上眼瞼に繋がっている靭帯は温存します。症例写真を見て頂ければ分かりますが、二重の形への影響はほぼありません。
合併症
最も頻度が高いのは目尻の高さの左右差です。元々の目尻の位置に左右差が無い人はかなり正確に高さを揃えることが出来ますが、元々の目尻の高さに左右差がある人は完全に揃えるのは難しくなります。元々左右差がある人の場合には靭帯の付着している骨格にも左右差があるからです。
吊り目矯正は慣れた医師に執刀をしてもらおう
皮膚の切りすぎや靭帯固定部位のエラーから、目尻の結膜が大きく露出したり下眼瞼が眼球から離れてパカパカしている他院症例を見ることがあります。
この術式は細かなコツが沢山ある手術です。目尻のポケットの深さから予想される安全に切開できる皮膚の長さ、靭帯を再固定する部位の三次元的な理解、靭帯再固定を安定させるための組織の残し方、後戻りを抑えるための眼輪筋への処置、などに精通していなくては安定した結果は出せません。
二重手術や目頭切開などと比べるとまだマイナーな手術なので、安定した結果を出すにはある程度の経験が必要だと考えています。
今回のコラムは写真が多いですが、最後に当院での人気施術を組み合わせたモニター症例をご紹介して終わりにします。
吊り目矯正と蒙古ひだ形成VY法を同時に行なった患者様です。目尻を下げて目頭に丸みを持たせることで別人のように優しげな目元になりました。
最後まで読んで頂きありがとうございました。
副院長:黒田大樹
#ドクターKの深掘り解説シリーズ
この記事の監修者
副院長
黒田 大樹
OHKI KURODA