DOCTOR'S COLUMNドクターズコラム

2024.03.08

耳介軟骨移植

鼻翼縮小

ハンプ骨切り

鼻のカウンセリング

Dr Kuroda

当院は目元の手術が多いイメージがありますが、最近は鼻のご相談が増えてきましたので、鼻のカウンセリングに関する話題です。

鼻のカウンセリングで患者様は

「耳介軟骨移植で鼻先を高くしたいです」
「鼻尖縮小で鼻先を細く見せたいです」
「鼻中隔延長はやりたくないけれど、鼻先を自然な範囲で綺麗にしたいです」
「小鼻が広いので鼻翼縮小がしたいです」

などの希望を伝えて下さいます。

しかし、患者様の希望する手術と医師が必要と考える手術が一致しないケースは鼻のカウンセリングでは珍しくありません。鼻のカウンセリングをしている際に何をチェックして必要な術式の判断をしているかを解説します。

鼻の皮膚の性状

私が最初にチェックするのは鼻の皮膚の性状です。

・皮膚が厚いのか薄いのか
・硬いのか柔らかいのか
・皮脂腺が発達しているのかいないのか

などを確認します。

鼻の皮膚の性状は、手術結果を予想する上で最も重要であると考えています。実際は皮膚だけでなくその下の脂肪層や線維筋層を含めて判断しているのですが便宜上「皮膚」と呼びます。

皮膚が薄くて柔らかい人は、フレームとなる軟骨の形状が反映されやすいので変化が出しやすいと言えます。一方、わずかなフレームの歪みや凹凸も隠れないシビアな側面もあります。

皮膚が厚く硬い人は、皮膚が元々の形状を保とうとする力が強いので変化が出しにくかったり後戻りが生じやすくなったりします。

皮膚の性状は上記の2パターンだけでなく、厚いけれど柔らかいタイプ、薄いけれど瘢痕などで硬いタイプなど様々です。

鼻先の軟骨の性状

次にチェックするのが鼻先の軟骨の状態です。具体的には鼻先の鼻翼軟骨と鼻中隔軟骨の大きさや硬さ、位置などを確認しています。

鼻先の軟骨がしっかりしているほど、鼻の軟骨を利用した手術が行いやすくなります。一方、鼻先の軟骨が小さくて弱い場合には、鼻の軟骨の操作のみでは変化が出せないため他の部位の軟骨を利用する必要性があります。

左右差の有無

完全に左右対称の人の方が少数派で、通常は何らかの左右差があります。その左右差を認識しておくことは、手術計画を立てる上で重要です。

診察から得られるこのような情報を頭で整理しながら、患者様が希望する鼻のイメージが実現可能であるかどうかを判断しています。

鼻の手術は

・フレーム部分の軟骨や移植物の形成
・フレームを少ない緊張の皮膚で覆う

の2点を無理なく行うことが肝要です。

先ほど、鼻の皮膚の性状が結果を予想する上で最も重要と述べました。鼻の皮膚は手術後6ヶ月ほどは元の状態に戻ろうとする力が働きます。皮膚自体が短くなろう、低くなろうとするのです。ですから、その力に長期的に耐えうるフレームを作成するのがポイントです。

そのために必要な手術が、鼻尖形成なのか耳介軟骨移植なのか、はたまた鼻中隔延長なのかは患者様の皮膚・軟骨の性状と希望する鼻の形次第となります。

そのような訳で、患者様が「〇〇の術式でこうなりたい」といっても希望と異なる術式を提案するケースが出てきます。

鼻の手術を希望される患者様は「自然な感じで良いので」とか「いかにもなツンとした感じでなくて良いので」などと仰ることが多いのですが、手術内容がシンプルなほど「自然」に見える訳ではないのが鼻手術の難しいところです。手術内容がシンプルなほど変化が少ないのは確かなのですが、それが自然に見えるとは限らないのです。

鼻は顔の中心にありますから、鼻を整えることで額や頬や顎とのバランスが崩れてしまうこともあります。そのようなケースでは、鼻のカウンセリングに来て頂いたにも関わらず、額や頬や顎についても提案させて頂くこともあります。

その上で、最終的に患者様の予算などの都合も考慮して行う術式を決めることになります。

カウンセリングでは患者様の希望を把握するヒアリング、鼻の状態の評価、3Dシミュレーターを用いての予想される変化の共有、手術方法やダウンタイムの説明、質問への回答などを行います。ですから鼻のカウンセリングはとても時間がかかります。

「目元の相談のついでに鼻も少し相談したい」というケースも可能な限り対応致しますが、予約状況次第では簡単な説明しか出来ないこともございます。鼻のカウンセリングを希望される患者様におかれましては、他部位のカウンセリングと日程を分けてご相談頂けるとしっかりと打ち合わせをすることが出来ますのでご協力頂ければ助かります。

副院長 黒田大樹

#美容外科よもやま話シリーズ

この記事の監修者

副院長

黒田 大樹

OHKI KURODA

2005年に信州大学医学部を卒業し2年間の初期研修医を修了後、形成外科医局として全国で最大規模の昭和大学形成外科に入局。形成外科医として11年間研鑽を積んだ後に、美容外科を専門として現在に至る。