DOCTOR'S COLUMNドクターズコラム

2023.11.17

その他

鼻先の異物について

Dr Kuroda

「オステオポールって取った方がいいですか?」
と相談されることがあります。

オステオポールとは

オステオポールとは、鼻先の高さを出す目的で挿入される人工物のことです。
数年前まで某大手美容外科を中心に、行われてきた手術です。

・自家組織を採取する必要がない
・ダウンタイムが短い
・将来的には自家組織に置き換わるので安全

などと説明され、手術が行われてきました。

近年は悪評が広まったことで下火になった施術ですが、当時オステオポールによる施術を受けた人が心配になって相談に来られます。

オステオポールは直径7ミリ前後の球状または半球状の形状で、PCL(ポリカプロラクトン)という物質で作られています。PCLは糸リフトや縫合糸の材料としても使用されているものです。

自家組織を採取する必要がない上に、ダウンタイムが短く、将来的には自家組織に置き換わるのであれば、とても良い治療法に思えます。しかし、鼻の手術を多く行う医師でオステオポールを使用している人は少数派です。

オステオポールのリスクとして言われているのは

・鼻腔内から飛び出してくる
・皮膚が薄くなる
・鼻尖の一部が不自然に凸となる
・鼻翼軟骨が変形する
・自家組織に置き換わると謳っているが、数年経っても置き換わっていない

などです。

鼻腔内から飛び出してくるのは割と初期の症状で、挿入した鼻腔内から感染を契機として出てくることが多いようです。

皮膚が薄くなるのと鼻尖の一部が不自然に凸となるのは、挿入している層が浅かったりオステオポールのサイズが大きかったりすることが原因です。

鼻翼軟骨の変形は、オステオポールに圧迫されることが原因です。通常、鼻先に大きな移植物をする場合には、鼻中隔延長や鼻尖形成などで土台となる鼻翼軟骨が圧力に耐えられるように補強をします。単純にオステオポールを挿入するだけでは、一時的には良くても時間経過とともに皮膚やオステオポールの重さに耐えられずに、鼻翼軟骨が変形して鼻先の高さが後戻りしてきます。

自家組織に置き換わっていないことはそれほど大きな問題ではないと思いますが、そのように謳っていて数年経って摘出してみても原型を留めているのを見ると、宣伝の仕方に問題があったように思います。

「オステオポールを取った方が良いか?」ということについてですが、

・皮膚が薄くなってきている
・鼻先の形状が不自然になっている

のであれば、摘出することをお勧めしています。

数年経過しても上記のような症状が無ければ、摘出しなくても良いと思います。ただし、将来的に悪さをすることが心配なのであれば、摘出しても良いでしょう。

症例紹介

摘出手術は基本的にはオープン法で行います。鼻先の皮膚が薄くなっているケースが多いので、皮膚に穴が開かないように慎重に剥離をしてオステオポールを取り出します。殆どのケースでは鼻翼軟骨がオステオポールに圧迫されて変形しているので、縫合法や軟骨移植などをして鼻翼軟骨の形状を修復します。皮膚が薄くなっている部位は、筋膜などの自家組織を移植して凹みが残らないように裏打ちをします。鼻先の高さを減らしたくない場合には、耳介軟骨などの自家組織を移植します。

実際の摘出した症例をご紹介します。

数年前に他院で鼻先にオステオポールを入れており、鼻先の一部が凸に変形していて鼻先の皮膚が薄くなっています。オステオポールを摘出し、上記のような処置を行い修正を行いました。

術中写真です。オステオポールを摘出すると、圧迫されていた箇所が陥凹変形しています。

摘出した直径7ミリの球状のオステオポールです。

まとめ

オステオポールの問題点は、オステオポールそのものでは無いと考えています。

適切なサイズのオステオポールを適切な深さで鼻翼軟骨を損傷しないように挿入し、必要に応じて鼻翼軟骨の補強を行えばオステオポールを使用してもトラブルを生じる可能性は低いでしょう。

最大の問題点は、「鼻の手術を行うのに十分な経験を持ち合わせていない医師が施術をしている」ケースが多いことです。そのため、無理のあるサイズを浅い層に挿入して浮き出てくる、という結果になります。摘出手術をする際に確認すると、鼻翼軟骨が損傷しているケースも散見します。オステオポールを挿入する際に乱暴な操作をすることで鼻翼軟骨が千切れてしまうものと思われます。

近年は、オステオポールを扱うクリニックはほぼ無くなった印象がありますが、PCLを用いた鼻先の施術はメッシュなどに形を変えて今も行われています。材料が変わろうと、根本の問題点はそこではない、、、ということです。

副院長 黒田大樹

#カウンセリングでよくある質問シリーズ

この記事の監修者

副院長

黒田 大樹

OHKI KURODA

2005年に信州大学医学部を卒業し2年間の初期研修医を修了後、形成外科医局として全国で最大規模の昭和大学形成外科に入局。形成外科医として11年間研鑽を積んだ後に、美容外科を専門として現在に至る。