DOCTOR'S COLUMNドクターズコラム

2024.04.12

鼻中隔延長

耳介軟骨移植

鼻尖形成って何するの?

Dr Kuroda

鼻尖形成って具体的に何をする手術なのかイメージしにくいと思います。

鼻尖縮小と書いてある場合もあるので

・鼻先を細くする手術
・団子鼻を改善する手術

といったイメージでしょうか?

鼻尖形成は「鼻先の形を整える」手術です。

鼻先を細くしたり高くしたりすることが多いですが、鼻先の向きをアップノーズにしたり長くすることも鼻尖形成です。

技術的には

・鼻翼軟骨に変化を加えてフレームを整える
・鼻先の皮膚の厚みを調整する

が鼻尖形成で行う内容となります。

では、鼻尖形成だけで希望する変化が出せるのでしょうか?

皮膚が薄く鼻翼軟骨が大きいケースでは鼻尖形成単独でも変化を出すことができます。

ですがアジア人の鼻は皮膚が厚く鼻翼軟骨が小さいケースが多いので、他の部位の軟骨を移植してフレームを強化しつつ皮膚の厚みを薄くすることが一般的です。

フレームの強化は中長期的な後戻りを予防する為に効果的で、フレームの補強として一般的には「ストラット」と「鼻中隔延長」が行われます。

ストラットは左右の鼻翼軟骨の間に支柱となる軟骨を移植することで、鼻尖が低くなる力に対抗できるようになります。

鼻中隔延長も鼻中隔を移植軟骨で延長することで、鼻尖の動きをある程度犠牲にしつつカチッとした土台を作ります。

鼻先を高くする・細くするという目的ではストラットで対応できるケースが多いですが、鼻先を長くする場合には鼻中隔延長を行うことが多くなります。ですが、鼻翼軟骨や鼻中隔軟骨の条件が良ければ、鼻中隔延長をせずとも鼻先の長さを出すことも可能です。

この症例では鼻中隔延長は行なっていませんが、鼻尖形成と耳介軟骨移植のみで鼻先の長さを出してアップノーズ感が改善しています。

鼻尖形成は症例によって様々な手技を使い分ける手術です。「先生はどんな方法で鼻尖形成をしていますか?」と質問されることがありますが、「私の鼻尖形成は⚪︎⚪︎法です」と一言で言うのは難しいです。

一例として鼻尖形成と耳介軟骨移植を行なった症例の手術内容を説明します。

『フレームの補強』

①ストラットで鼻翼軟骨内側脚の補強

:鼻先が潰れにくいよう土台の役割をします

『鼻翼軟骨への操作』

②鼻翼軟骨ドーム縫合

:鼻先の丸みを減らして細くします

③鼻翼軟骨外側脚頭側切除

:余分な軟骨を切除して鼻先の軟骨のサイズを小さくします

④鼻翼軟骨と外側鼻軟骨の間の靭帯切離

:鼻先の軟骨を適切な位置に移動しやすくします

⑤鼻翼軟骨と梨状孔の間の切離

:鼻先の軟骨を適切な位置に移動しやすくします

⑥鼻尖延長縫合

:鼻先が長くなる位置で鼻翼軟骨を鼻中隔軟骨に固定しています

『移植軟骨での操作』

⑦オンレイグラフト

:鼻先の高さを軟骨移植で微調整します

⑧シールドグラフト

:鼻先の長さを移植軟骨で微調整します

『皮膚への操作』

⑨深層脂肪層と線維筋膜層の部分切除

:整えたフレームの形態が反映されるように皮膚の厚みを調整します

鼻尖形成という手術の中にはこれだけの手技が詰まっています。これはあくまでも一例で、症例によっては上記以外の方法をすることもあります。

鼻尖形成が何をするのかが分かりにくいのは、鼻尖形成という一括りの中に沢山の手技が含まれており症例によって何をするのかが違う、というのが原因だと思います。症例によって必要な手技は違いますが、患者様の希望に沿うのにベストな鼻尖形成を提供できるよう常に腕を磨いています。

副院長 黒田大樹

#ドクターKの深掘り解説シリーズ

この記事の監修者

副院長

黒田 大樹

OHKI KURODA

2005年に信州大学医学部を卒業し2年間の初期研修医を修了後、形成外科医局として全国で最大規模の昭和大学形成外科に入局。形成外科医として11年間研鑽を積んだ後に、美容外科を専門として現在に至る。