DOCTOR'S COLUMNドクターズコラム

2024.03.01

二重切開

上まぶたたるみ切除

眼瞼下垂手術

二重と額ボトックス

Dr Kuroda

当院では二重手術を検討されている患者様に、額のボトックス注射をお願いするケースがあります。眉毛を上げるクセが強くブジーを用いたシミュレーションをしても綺麗に二重ラインが折りたたまれない方が対象となります。

ボトックスは注射した部位の筋肉の動きを抑える働きがあります。眉間にいつも縦シワが寄っている、笑った時の目尻のシワが気になるなどの悩みに対して表情シワを改善する目的で使用するのが一般的です。

眉毛を上げるクセが強い人では、眉毛を上げる動きを抑える目的でボトックス注射を行います。

何故、眉毛を上げるクセが強い人は手術前に眉毛の動きを抑える必要があるのでしょうか。

それは眉毛を上げるクセが強いと二重ラインより眉毛側の皮膚が被さってこないので綺麗な二重にならないからです。

眉毛を上げるクセがない人の二重が出来る仕組みをイラストで見てみましょう。

二重ラインが眼球に沿って奥に引き込まれます。すると二重ラインより眉毛側の皮膚は二重ラインで折りたたまれて被さります。皆さんが言う二重幅は、二重ラインまでの長さから被さる皮膚を引いた差(⭐︎)を見ています。

眉毛を上げるクセが強い人の状態をイラストで見てみましょう。

二重ラインは同じように眼球に沿って奥に引き込まれます。しかし眉毛を上げるクセによって二重ラインより眉毛側の皮膚は二重ラインに被さってきません。すると二重幅は広く浅い奥行きのない二重になってしまいます。眉毛を上げるクセが予定外重瞼線(いわゆる三重)を形成するリスクもあります。

眉毛を上げるクセで二重ラインが上方に引かれると、二重ラインの癒着も予定より広いところで生じてしまうリスクも出てきます。

二重の手術後は腫れの影響で一時的に目の開きが悪化しますから、術前に眉毛を上げるクセが軽度と思っていた人でも、術後に眉毛を上げるクセが強く出る場合もあります。

通常は手術より前にボトックス注射をさせて頂くのですが、状況次第では手術後にボトックス注射をお願いするケースもあります。

術前に行う額のボトックス注射ですが、眉毛を上げるクセがある人の全員にお願いしているわけではありません。眉毛を上げるクセの原因を考慮する必要があります。

一重で黒目に皮膚が大きく被さっている人は大半は眉毛を上げるクセがあります。しかし眉毛を上げるクセがそれほど強くなければ二重になると眉毛の位置が下がってくることが多いです。二重にすることで自然と眉毛が下がってくると予想される人には、術前の額ボトックスはお願いしていません。

まぶたの皮膚が伸びていることが眉毛を上げる原因になっている人もいます。まぶたの弛みが高度な中高年以降の人であれば、ボトックスで眉毛を上げるクセを抑えてしまうとまぶたの皮膚が眼に被さってしまい日常生活に支障が生じます。まぶたの皮膚が高度に伸びているケースでは、眉下たるみ取りの適応となります。

眼瞼下垂で目の開きが悪く眉毛を上げるクセが出ている人の場合は、眼瞼下垂に対する手術の適応です。

上記のような要因があまり関与していないのに眉毛を上げるクセが大きい人には、二重手術の前に額ボトックス注射をお願いしています。

実際の症例写真を見てみましょう。

初診時の状態です。開瞼時でも閉瞼時でもかなり強く眉毛を上げるクセがあります。まぶたの皮膚が余っている状態ではなく眼瞼下垂もありません。このような状態で二重手術を行なっても綺麗な二重が作れないので、術前に額ボトックスを受けて頂きました。

額のボトックス注射を打って2週間経過した状態です。初診時に比べて眉毛を上げるクセが改善しています。このくらいの状態になれば手術を行うことができます。

手術直後の写真では眉毛挙上が抑えられているので、二重ラインより眉毛側の皮膚が被さっています。このような状態になれば問題ありません。

術後3ヶ月が経過した状態では額のボトックスの効果が切れ始めていますが、ダウンタイムの期間が過ぎれば額のボトックスは必須ではありません。

二重手術を検討している人に額のボトックスをお願いするケースは時々ありますので、その際はご協力頂ければ幸いです。

副院長 黒田大樹

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この記事の監修者

副院長

黒田 大樹

OHKI KURODA

2005年に信州大学医学部を卒業し2年間の初期研修医を修了後、形成外科医局として全国で最大規模の昭和大学形成外科に入局。形成外科医として11年間研鑽を積んだ後に、美容外科を専門として現在に至る。