DOCTOR'S COLUMNドクターズコラム

2023.12.01

二重切開

上まぶたたるみ切除

まぶたの厚み

Dr Kuroda

「私のまぶたって厚いですよね?」

カウンセリングでよく聞かれる質問です。

まぶたの厚みは個人差が大きく、厚ぼったさで悩んでいる人がいる一方で、薄さで窪み目にみえることを悩まれている人もいます。

美容整形において厚いまぶたは二重を作成する際に問題となることがあります。

ブジーという棒を瞼に当てて二重のシミュレーションをしますが、その際にスムーズに皮膚が折り畳まれる場合には問題ありません。

ブジーを外すと直ぐに一重に戻る、ブジーを当てても二重にならない場合には何らかの対策が必要です。

手術で取り除ける組織は浅いところから順に

・皮膚
・眼輪筋
・ROOF (ルーフ)
・眼窩脂肪
・瞼板前組織

となります。

皮膚

まぶたの皮膚はまつ毛に近いところでは薄く、眉毛に近づくにつれて厚くなります。まぶたの皮膚が厚い人が二重ラインで皮膚を切除すると、薄い部位の皮膚が無くなってしまうため厚ぼったさが増してしまいます。

皮膚が厚くてたるみもある場合には、眉下切開で厚みのある皮膚を優先的に切除するとスッキリ見えます。皮膚のたるみが少なく眉毛の位置が低い人では、前額リフトの適応となることもあります。

眼輪筋

眼輪筋はまぶたを閉じる筋肉で、部分的な切除で機能的な問題を生じることはありません。二重ラインよりまつ毛側の眼輪筋を切除すると、まつ毛の上のボリュームを減らすことが出来ます。眼輪筋を切除することで取れにくいスッキリとした二重を作成出来るメリットがある一方、ペタっとした動きの少ない二重になったり、閉瞼時に二重ラインを境界として厚みの違いが目立つデメリットがあります。二重ラインより眉毛側の眼輪筋は、切除してしまうと予定外重瞼線が出現して三重になってしまうので切除しません。

ただし、眉下切開の際に切除する皮膚の直下の眼輪筋を切除すれば、安全にまぶた上部の厚みを減らすことが出来ます。

ROOF(ルーフ)

眼輪筋の下にある線維質の脂肪組織です。後述の眼窩脂肪のようにツルッと引き出すことは出来ないので、周辺の組織から削り出すように切除します。切除することで、まぶた上部や眉毛下のボリュームを減らすことが出来ます。切開二重でも切除することが出来ますが、眉下切開からの方が安全に切除出来ます。手術以外に、脂肪溶解注射でも減らすことができます。取り過ぎると、瞼のハリが減ったり眼輪筋と癒着が生じて予定外重瞼線が生じるリスクがあるので、通常のまぶたの厚みの人では切除しません。

眼窩脂肪

いわゆるまぶたの脂肪取りで切除する脂肪です。埋没法の際に数ミリの切開から抜き取るのはこの脂肪です。眼瞼挙筋がスムーズに滑走する為の潤滑剤としての役割もあり、取りすぎると窪み目や予定外重瞼線が生じるリスクがあります。

眼窩脂肪が多い人は、二重ライン付近まで垂れ下がっている事が多く、適量を切除することで目尻側の二重ラインがシャープに折れ易くなる効果が期待できます。深いところにある脂肪なので、切除してもまぶたの厚みは期待するほど薄くはなりません。

瞼板前組織

生来ハム目っぽい人は、瞼板前の組織のボリュームが多いです。切除することでまつ毛の上をスッキリさせて取れにくい二重を作成出来ます。瞼板には眼瞼挙筋腱膜が付着しているので、瞼板前組織を切除する際に瞼板と眼瞼挙筋腱膜の癒着が緩んで眼瞼下垂が生じてしまう可能性があります。眼瞼挙筋腱膜と瞼板の癒着が緩んだ場合には、再固定を行う必要があります。

まぶたの厚い人はこれらの組織のボリュームを減らすのですが、特定の組織だけが厚いというよりは満遍なく全ての組織が厚いケースが大半です。

まぶたの厚みがあったモニター患者様の症例をご紹介します。

末広型の自然な二重を希望されていたのですが、まぶたが厚くブジーを当てても希望の二重ラインで皮膚が折り畳まれない状態でした。眉下切開で厚みのある皮膚と眼輪筋、ROOFを切除し、一ヶ月後に切開二重を行いました。切開二重の際にも、眼窩脂肪と眼輪筋、瞼板前組織の減量をしています。

このように、順を追って必要な組織を減らせば厚みのあるまぶたでも二重にすることは可能です。しかし、皮膚が厚いことには変わらないので、二重幅を広くとると厚み感の目立ついかにも整形っぽいまぶたになるので注意が必要です。

厚みの原因となっている組織をどの順番でどう取るのかは、希望の二重の形やまぶたの状態から判断しています。

副院長 黒田大樹

#ドクターKの深掘り解説シリーズ

この記事の監修者

副院長

黒田 大樹

OHKI KURODA

2005年に信州大学医学部を卒業し2年間の初期研修医を修了後、形成外科医局として全国で最大規模の昭和大学形成外科に入局。形成外科医として11年間研鑽を積んだ後に、美容外科を専門として現在に至る。