DOCTOR'S COLUMNドクターズコラム

2023.09.29

二重切開

部分切開二重について

Dr Kuroda

カウンセリングで、

「部分切開でも二重にできますか?」
「ダウンタイムが取れないので部分切開でお願いしたいです」
「傷跡が残るのが嫌なので部分切開がいいです」

と言われることがあります。

部分切開やミニ切開と呼ばれている術式ですが、以下のような特徴があります。

・瞼の切開ラインが1~2センチ程度(厳密な定義はなし)
・切開が短いのでダウンタイムが短い
・傷跡が短いので目立たない

なんだかとても良い事づくめの術式に思えます。

シミュレーションで二重のクセがつきやすく、やや狭めの二重幅を希望される方であれば適応はあるのだと思います。

ですが原則、私は部分切開での二重形成は採用しておりません。
その理由について解説いたします。

理由①:全切開に比べて二重が緩みやすい

切開二重は瞼を引き込む組織と二重ラインとの間に癒着を作る手術です。部分切開では癒着を作成する範囲が狭くなります。全切開でも二重ラインが緩むことはありますので、部分切開では二重が緩むリスクがより高いと考えています。

理由②:皮膚切除が出来ない

二重を作成する際に余分な皮膚を切除をした方が綺麗な仕上がりになるケースは割と多いです。部分切開では皮膚切除は行えませんので、全切開二重と比べてまつ毛の生え際の見え方などで仕上がりに差が出ます。

理由③:内部処理が不十分になる

切開二重を行うときは、内部処理に気を配っています。内部処理というと、埋没法の糸の抜去や眼窩脂肪の減量などはもちろんのこと、二重ラインが折れにくい場合では適切な量の眼輪筋切除、開瞼抵抗となる組織がある場合にはその組織の除去など多岐に渡ります。特に開瞼抵抗の処理については目頭側と目尻側の操作がキモになりますから、部分切開の短い切開線からそれらの操作を行うことは困難です。

理由④:傷跡が目立つ

理由①で説明したように、全切開に比べると部分切開は緩みやすいです。緩まないようにする為には、皮下に強固な癒着を作る必要があります。眼輪筋を多く切除したり、瞼板前組織に縫い付けたりして狭い範囲にしっかりとした癒着を作成して緩みづらい二重にします。全切開では目頭から目尻にかけて均等に丁度良い食い込みがあるのに比べ、部分切開では短い傷跡がピンポイントで食い込み逆に傷跡が目立ってしまうケースがあります。本来は傷跡が目立つのが嫌で部分切開を選んだはずなのに、傷が目立ってしまったら本末転倒ですよね。

他院で部分切開を受けた患者様の修正症例を見てみましょう。術前は傷跡は短いものの、部分的に食い込んで傷跡が目立ちます。部分切開の傷跡を含めて切除し、全切開で二重を作成し直しました。どうですか?全切開で修正した術後の方が傷跡は目立ちません。

部分切開(ミニ切開)でも適応を選んで上手な術者が行えば、綺麗に仕上がることはもちろんあります。ただし、多くの点で全切開二重には及ばないと考えています。

副院長 黒田大樹

#カウンセリングでよくある質問シリーズ

この記事の監修者

副院長

黒田 大樹

OHKI KURODA

2005年に信州大学医学部を卒業し2年間の初期研修医を修了後、形成外科医局として全国で最大規模の昭和大学形成外科に入局。形成外科医として11年間研鑽を積んだ後に、美容外科を専門として現在に至る。