DOCTOR'S COLUMNドクターズコラム

2023.08.04

その他

ウインクと食い込み

Dr Kuroda

こんにちは。副院長の黒田です。
梅雨明けが発表され夏本番という感じですね。

さて、今回はウインクについてです。
え?ウインク?歌手の?

違います。片目を閉じて合図を送るアレです。
ウインクと二重ラインの食い込みについての話題です。

「二重ラインの食い込みが気になります」とおっしゃる方がいます。

多くの人は、ウインクしながら鏡で傷跡を見ているようです。
美容外科医としては「そりゃ、食い込みますよ」と感じる訳です。
その理由をお話します。

二重手術とは、瞼を開ける際に奥に引き込まれる組織と皮膚との間に連結を作る手術です。(少し専門的な説明をすると奥に引き込む動力となる組織とは、眼瞼挙筋腱膜だったり反転眼窩隔膜だったり瞼板前組織だったりします。)

瞼を開くと同時に皮膚がその連結によって奥に引き込まれます。引き込まれる皮膚よりも眉毛側の皮膚は上から被さってきて二重になります。この理屈は、切開二重でも埋没法でも天然の二重の人でも同じです。

一方、瞼を閉じている時は奥に引き込む組織はお休みしています。代わりに眼輪筋という筋肉が瞼が開かないように働いています。ギュッと瞼を閉じた時にできるシワは、この眼輪筋の影響です。

ここからが本題。

人間の脳は不器用なのです。
片目は閉じて、もう片目は開けてと器用に指令を出すことができません。

ウインクでは、瞼は開こうとしているにも関わらず眼輪筋を意識的に働かせて強引に閉じている状態です。

すると二重ラインで、目を閉じたい筋肉と開けたい筋肉による引っ張り合いが生じます。二重ラインを巡っての筋肉による綱引き状態ですね。

瞼の皮膚のある一点で、筋肉同士の綱引きが生じるとどうなるでしょう?
そうです。「食い込みが強くなる」のです。

鏡で一生懸命に傷跡を見ようとすればするほど、変に力が入って食い込みは強まります。

動画を撮影して、ウインク状態と両目を自然に閉じた状態を比較してもらうとその違いが良くわかります。

自然に両目を閉じた状態でも食い込みが強いケースもありますが、ウインク状態のみを評価して食い込みが強いと感じてる人がかなりいるようです。

周囲の人から見えているご自身の瞼の食い込みは、ウインク状態では確認出来ないというお話でした。

今回も最後まで読んで頂きありがとうございました。

副院長 黒田大樹

#美容外科よもやま話シリーズ

この記事の監修者

副院長

黒田 大樹

OHKI KURODA

2005年に信州大学医学部を卒業し2年間の初期研修医を修了後、形成外科医局として全国で最大規模の昭和大学形成外科に入局。形成外科医として11年間研鑽を積んだ後に、美容外科を専門として現在に至る。