DOCTOR'S COLUMNドクターズコラム

2024.07.19

その他

人それぞれ

Dr Kuroda

カウンセリングで質問にお答えする際に、明確に答えられる質問とそうでない質問があります。

例えば、

「抜糸は何日目ですか?」
「コンタクトレンズはいつからしても大丈夫ですか?」

といった質問は明確に答えられます。

一方、

「術後の腫れはどのくらい続きますか?」
「手術をしたら周りの人にバレますか?」
「この手術をしても不自然になりませんか?」

などは明確に答えるのが難しい質問です。

医者なのに答えられないの?って思うかもしれませんが、医療は患者様が考えているよりも不確実です。ダウンタイムは個人差がありますし、治療結果にもブレがあります。医者がなんでも正確にお見通しなわけではないのです。

このような明確に答えるのが難しい質問をされたとき医者は

「人それぞれですね」

と答えがちになってしまいます。

「人それぞれ」とか「人によりますね」って便利な表現なのですが、私は極力使わないように気をつけています。

もちろん内心では「人それぞれだよなぁ」と感じるのですが、この患者様の場合はどうだろう?という予想をしてお伝えするよう心がけています。具体的な例を挙げてみましょう。

「二重切開手術の後はどのくらいで周りの人に見られても平気になりますか?」

という質問があったとします。まさに「人それぞれ」と答えそうになる質問です。

私の答えは以下のような感じです。

「Aさんは瞼の皮膚が薄いので通常よりも腫れの引きは早いことが予想されます。抜糸後はメイクやメガネなどで目元を隠せば職場の人が見てもそれほど違和感が無い可能性が高いと思います」

「Bさんは瞼の皮膚が厚く、希望の二重幅もそれなりに広いです。希望の二重幅を作成するには皮下組織の減量や脂肪の除去も必要になるので、腫れが平均よりは長引くと思います。通常は2週間もすればメイクでカモフラージュできるのですが、Bさんは1ヶ月程度は辛抱が必要かもしれません。学生さんでお休みが取れるのであれば、長期休みのタイミングを狙うのが良いでしょう」

「Cさんは瞼の皮膚は厚めですが希望の二重幅はそれほど広くありません。瞼の厚い人は腫れが長引きやすい傾向がありますが、希望の二重幅であれば腫れていてもそれほど不自然には見えないと思います。2週間ほど経てばメイクをしたら大丈夫だと思います」

といったように、各々の患者様の状態や背景を考慮して私なりの予想をお伝えします。もちろん予想なのでハズれる可能性もあるのですが、医師としての経験から当たらずも遠からずな予想はお伝えできていると思います。

今回のコラムはカウンセリングにおける私の密かなこだわりのお話でした。

副院長 黒田大樹

#美容外科よもやま話シリーズ

この記事の監修者

副院長

黒田 大樹

OHKI KURODA

2005年に信州大学医学部を卒業し2年間の初期研修医を修了後、形成外科医局として全国で最大規模の昭和大学形成外科に入局。形成外科医として11年間研鑽を積んだ後に、美容外科を専門として現在に至る。