DOCTOR'S COLUMNドクターズコラム

2025.11.14

その他

目頭の真皮脂肪移植

Dr Kuroda

目頭切開後の形の修正(蒙古ひだ形成)と同じく多いご相談が、目頭切開後の傷跡修正です。目頭は傷跡が目立ちやすい部位ですので、目頭切開によって多少の傷跡が残ることは避けられません。しかし、相談者の中にはかなり傷跡が目立つ方がいらっしゃいます。

傷跡の中でも厄介なのが凹みを伴った傷跡です。凹みを伴った傷跡はメイクで隠すことが難しく悩んでいる患者様が多いです。

当院では傷跡の凹みに対して、脂肪注入もしくは真皮脂肪移植を提案させて頂くことがあります。今回は、凹みの改善効果が高い「真皮脂肪移植」について解説します。

目頭の真皮脂肪移植とは

真皮脂肪移植は真皮と脂肪を一塊に採取して、凹みの部分に移植する方法です。

真皮脂肪は皮膚を紡錘形に切開して採取します。採取部位には線状の傷が残ります。採取部位は顎下、二の腕、足の付け根、腰などです。

傷跡の凹んでいる部位は瘢痕という硬い組織が皮膚を皮下に引っ張っているので、その瘢痕を小切開から解除します。上手に瘢痕を解除できると、それだけでも凹みが改善されるのが確認できます。

移植した真皮脂肪が最終的に一回り小さくなることを見越し、凹みより少し大きく加工した真皮脂肪を皮下に移植します。

真皮脂肪が正確に凹み部分に移植されるよう、真皮脂肪に通した糸を皮下から皮膚に貫いて誘導します。誘導に用いた糸は1週間後に抜糸するので、それまでは目頭に薄茶色のテープで固定します。

抜糸直後は移植した組織がやや過剰に見えますが、1ヶ月で半分程度のボリュームに減るので、最終的に過剰な膨らみになることは稀です。

真皮脂肪移植のメリット

真皮と脂肪の間には真皮下血管網という毛細血管があるため、脂肪のみ移植するより生着が良く、凹みの改善効果が高いです。

脂肪注入に比べて凹み部分をピンポイントで持ち上げることが出来るので、部分的な狭い凹みに対しても効果的です。

真皮脂肪移植のデメリット

最大のデメリットは、移植組織を採取する部位に新たな傷跡が出来ることです。脂肪注入であれば数ミリの切開で済みますが、真皮脂肪移植の場合は2センチ程度の傷跡が残ります。

真皮脂肪移植はボリュームがあり生着も良いため効果が感じられないということは稀ですが、陥凹が完全にフラットになるのは難しいことが多いです。

症例写真

最後に実際の症例写真をご覧ください。

※移植する真皮脂肪を陥凹部の上に置いています。この真皮脂肪を小切開部位から陥凹部に移植します。

※目頭の凹みが改善しているのが分かります。こちらの症例では、蒙古ひだ形成VY法と真皮脂肪移植を同時に行なっていますが、真皮脂肪移植のみの手術も可能です。

最後に

真皮脂肪移植は効果が高い治療方法ですが、真皮脂肪採取部の丁寧な縫合、凹み部分の十分な瘢痕解除、凹み部分への真皮脂肪の正確な固定、など形成外科的な基本手技が必要な手術です。

目頭の傷跡の凹みにお悩みの方はご相談ください。

副院長 黒田大樹

この記事の監修者

副院長

黒田 大樹

OHKI KURODA

【R.O.clinic 副院長】
日本形成外科学会専門医
日本美容外科学会専門医(JSAPS)

自然で美しい仕上がりを追求し、患者一人ひとりの理想に寄り添った施術を提供します。