DOCTOR'S COLUMNドクターズコラム

2024.11.25

その他

乳頭のかたち

Dr Tatsuta

乳頭について

思春期にエストロゲン分泌が高まると乳房が発達し,それに伴って乳頭も突出してきます。

乳頭の形状はさまざまで、おおよそ0.9~1.5 cm程度突出しているものが正常乳頭とされています。
ところが乳房が発達しても乳頭だけが取り残されて陥没している、いわゆる陥没乳頭と呼ばれる状態の女性が3~20%に存在すると言われています。
陥没乳頭は乳腺が発達し乳房が大きい人に多い傾向があります。このことから乳頭に開口している乳管が乳房の発育に追いつかず、相対的に短縮をきたすことで陥没乳頭が発症すると考えられています。
このような生まれもった形によるものの場合に加えて、もともとは出ていた乳頭が後々に陥没する場合もあります。

陥没乳頭の程度は、乳頭の刺激によって突出する軽度なものから、授乳不能な重度のものまでさまざまで、左右両側に起こることが多いです。
刺激すれば突出する場合は仮性陥没乳頭、刺激しても突出しない場合は真性陥没乳頭に分類されます。
親指と人差し指で乳輪を圧する刺激によって、乳頭が突出あるいは陥没するかをみる、ピンチテストによって判定します。

また、陥没乳頭は整容面で精神的苦痛を与えるだけでなく、授乳時にも影響を与えます。陥没していることで清潔が保ちにくくなり感染を起こしやすく、乳腺炎や乳輪下膿瘍を繰り返すことも珍しくありません。
妊娠中の乳頭刺激は早産のリスクとなるため、治療はできる限り妊娠前が望ましいです。

治療について

治療は重症度により異なります。矯正治療で修正されない場合は手術適応となります。手術は局所麻酔で行います。
術後3か月の間は、過度な圧迫を避けて、再度陥没しないよう気を付けていくことになります。術後、授乳も可能ですが、手術のリスクについての説明も大切にしています。

この記事の監修者

非常勤医師

辰田 紗世

Sayo Tatsuta