2024.07.26
豊胸術
シリコンバッグ(乳房インプラント)豊胸の術後合併症、検査、注意事項
シリコンバッグ豊胸の合併症の一つとして、カプセル拘縮があげられます。シリコンバッグの表面がザラザラしているテクスチャードタイプは被膜拘縮が少ないとされ、スムーズタイプの方が被膜拘縮率は高いです。拘縮予防として早期からのマッサージを推奨する医師もいますが、マッサージについては明らかな医学的根拠はありません。出血や血腫、漿液腫、組織の挫滅や感染といった原因によって炎症を生じると、被膜は厚く硬くなります。
そのため合併症の予防として術直後は安静に過ごすことが大切です。
またシリコンバッグのテクスチャーの形状により、乳房インプラント関連未分化大細胞型リンパ腫(Breast Implant Associated-Anaplastic Large Cell Lymphoma:BIA-ALCL)の問題が発生しています。これは主にテクスチャードタイプのシリコンバッグを使用した際に生じる、非常にまれな疾患です。スムーズタイプのインプラントはBIA-ALCLのリスクは限りなく低くなります。
BIA-ALCLを発症しても、多くの場合はシリコンバッグとその周囲の組織を切除することで治癒するとされています。
また乳房インプラント関連扁平上皮がんという合併症もあり、これは世界で16例の報告がありますが、日本ではまだ報告例がありません。
術後の注意事項についてですが、術後の肩関節や大胸筋を使った運動の制限期間などについては、術式や主治医によって違いがあります。術後のバンド固定方法や期間についても主治医の指示に従っていただくとよいです。
術後の検診についてはシリコンバッグへの負荷や診断精度を考慮するとエコーやCT、MRIが適しています。
私は術後の注意事項を患者様にお伝えすることも大切にしています。 患者様ご本人が何かおかしい、と思ったらすぐに当院へご連絡いただくことで、早期に適切な対応ができればと考えております。
この記事の監修者
非常勤医師
辰田 紗世
Sayo Tatsuta