DOCTOR'S COLUMNドクターズコラム

2024.05.03

その他

未成年の美容整形

Dr Kuroda

一昔前に比べて美容整形を希望する未成年者の相談が増えています。

SNSの普及により美容整形の情報が手に入りやすくなった、美容整形の大衆化により心理的ハードルが下がった、などの要因があると思います。

実際にお子様が美容整形を希望された場合、保護者の方は心配や不安を感じることと思います。

果たして未成年に対する美容整形は可なのか不可なのか?

身体や心の成長について踏まえながら解説いたします。

「未成年者の美容整形は何歳から出来ますか?」

よくある質問です。

基本的には希望するパーツの成長が止まってから施術をすることになります。

顔の成長は上半分から始まり下半分に終わります。赤ちゃんや幼児はおでこは広いけれど鼻から下はコンパクトで可愛らしいですよね?成長に伴って中顔面の成長があって、最後に下顎の成長で終わります。

最も相談の多い二重形成の場合、まぶたの成長は12歳頃までと言われています。身体的には小学校を卒業する頃であれば埋没法でも切開法でも手術可能です。埋没法であれば小学生に行うこともあります。目元の手術の多くは局所麻酔で行います。局所麻酔の痛みを我慢出来て施術に協力できることが必要になります。

鼻の成長は15歳頃まで続きますから早くても高校生以降が対象になります。ですが鼻の手術は鼻以外のパーツとのバランスも考慮する必要があるので18歳頃まで待った方が無難です。

豊胸や脂肪吸引も身体の発育がひと段落する18歳以降にするのが良いでしょう。

ワキガは二次性徴に伴ってアポクリン腺が増えてくると症状が出てきます。20歳前後までアポクリン腺は増えるので治療効率を考えると20歳過ぎに治療をするのがベストです。しかし、ワキガの悩みは思春期の対人関係や精神的な発達に影響することがあります。今はミラドライという傷跡を作らずに治療できる方法があるので、ワキガが気になった段階で治療を開始して良いと思います。

ほくろやアザについては早期の治療の方が傷跡が目立ちにくいというメリットがあります。ほくろの部位によっては変なあだ名をつけられてからかわれたりするケースもあるので、ご本人の協力が得られるのであれば特に年齢による制限はありません。

未成年者に美容施術を行うには、ご本人と親権者の同意が必要となります。

ご本人がどれほど手術を望んていても、親権者の同意なしには手術を行うことは出来ません。逆も然りで、どんなに親御さんが治療を望んでいてもご本人の意に沿わない手術を行うことは出来ません。稀に親御さんが手術に前のめりになっていて、手術室に入った時点でご本人が「本当は手術を受けたくない」と言い出すケースもあります。

カウンセリングにはご本人と親権者の方が一緒に来ていただくのがベストです。

リスクやダウンタイムなどの説明を一緒に聞いて頂き、疑問点があれば些細なことでも質問して頂いて納得の上で施術を受けて頂きたいと考えています。そしてダウンタイムを一緒に乗り越える味方になってくれるようであれば、未成年の患者様も安心して施術が受けられます。

未成年の患者様はまだまだ身体も心も成長過程です。周囲の意見の影響を受けやすく、他人と自分との違いを感じながら成長していく時期でもあります。SNSなどの加工した画像を見て真偽を判断できないままに劣等感を感じていることもあります。

未成年に限った話ではありませんが、カウンセリングでは希望は尊重しつつも客観的に見て不自然と感じるような変化を希望する場合には何度も話し合いをします。実際に施術前に3回カウンセリングに足を運んで頂いたケースもあります。

未成年者はまだ保護される対象であり、将来的に後悔しないように守る責務が大人にはあると考えています。

ちょっと堅苦しくなりましたが、美容整形手術は「幸せ外科」です。

毎朝アイプチに費やしている時間から解放されれば、その分時間を有効に使えます。

ワキガの匂いやホクロのせいで消極的になってしまうのであれば、治療は前に進むきっかけになるでしょう。

当院のカウンセリングでは、未成年の患者様にも親権者の方にも納得して施術を受けて頂けるようリスクも含めてしっかりとご説明致します。

副院長 黒田大樹

#美容外科よもやま話シリーズ

この記事の監修者

副院長

黒田 大樹

OHKI KURODA

2005年に信州大学医学部を卒業し2年間の初期研修医を修了後、形成外科医局として全国で最大規模の昭和大学形成外科に入局。形成外科医として11年間研鑽を積んだ後に、美容外科を専門として現在に至る。